改憲という溶解剤。


以前に政党の溶解ということについてのべた(参照)。
まさに、政党が溶け込んでしまっている。

自民党の国会議員やOBでつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)は4日、国会内で総会を開き、新たな役員として、民主党鳩山由紀夫幹事長や国民新党亀井静香代表代行らを顧問に、民主党前原誠司前代表らを副代表に迎え入れた。昨年、それまでの「自主憲法期成議員同盟」を衣替えして活動を始めたが、今回は超党派に枠を広げ、改憲機運の盛り上げをめざす。

総会で中曽根氏は「改憲のような国家的大問題は超党派で決めていかねばならない」とあいさつし、安倍前首相も「改憲は私のライフワーク」。民主党を代表して田名部匡省参院議員も「改憲はここ数年で決着すると決めてやらないと」と呼応した。

与野党改憲派がタッグ 鳩山由・前原氏ら役員に

この議員同盟の新体制は、個別の課題で、というより今後の将来にかかわる改憲の課題で、自民、民主の垣根はないということを示している。
もちろん、それぞれに所属する議員の一部で構成されたものではあるのだが。
けれど、自民、民主の両幹事長が顧問にすわるというのだから、自民、民主両党の意思はこの同盟とともにあると考えてよい。

つねづね二大政党制を推進する勢力の欺瞞にふれてきたが、ここに至って、二大政党制が何に対抗しようとしているのが、あらためてはっきりした。
この同盟は、組織的には九条の会に対抗することを明確に打ち出したのである。

メディアも基本的には歓迎しているのだろうか、朝日も、毎日、読売も肝心の議論の中身を伝えてはいない。以下は「しんぶん赤旗」から。

4日の新憲法制定議員同盟の総会では「拠点となる地方組織づくり」を方針として確認しました。

愛知和男議員同盟幹事長は活動方針の説明の中で「われわれと正反対の勢力、『九条の会』と称する勢力が、全国に細かく組織作りができておりまして、それに対抗していくにはよほどこちらも地方に拠点を作っていかねばなりません。そこが今後の活動の大きな焦点となる」と強調。「各党支部青年会議所などに頼んで拠点になってもらうことも一つかと思う」と提起しました。

中曽根康弘会長も「各党の府県支部憲法改正の委員会をつくり、全国的な網を張っていくことが私たちの次の目標。そしてできれば超党派の全国的な国会議員、地方議員の連合の会をできるだけ早期につくりたい」と発言しました。

ということは、必然的に、名乗りをあげた自民党議員だけでなく、鳩山、前原氏など民主党議員もまた、九条の会はもとより、九条改憲は必要ないと考えている国民への敵意を鮮明にしたということになる。
これまでは自民党が中心だった。が、鳩山氏などが新たに加わったことは、溶解がさらにすすんだことを意味する。
大連立はいちおう頓挫した恰好だが、個別・具体的な問題で、実践に移されている。


憲法議員同盟の役員
新憲法制定議員同盟総会で了承された役員は次の通り。☆は新。かっこ内の元は元職。敬称略。

【会長】中曽根康弘(元)
【会長代理】中山太郎(自民・衆院
【顧問】衆院海部俊樹中川秀直丹羽雄哉中川昭一瓦力山崎拓、☆安倍晋三、☆伊吹文明、☆谷垣禎一(以上自民)、☆鳩山由紀夫(民主)、綿貫民輔、☆亀井静香(以上国民新)、参院青木幹雄(自民)、元職=塩川正十郎奥野誠亮、森下元晴、上田稔倉田寛之関谷勝嗣片山虎之助、☆粟屋敏信、☆葉梨信行谷川和穂
【副会長】衆院津島雄二古賀誠野田毅島村宜伸深谷隆司与謝野馨高村正彦二階俊博町村信孝額賀福志郎大野功統、斉藤斗志二、杉浦正健森山眞弓堀内光雄、☆臼井日出男、☆石原伸晃(以上自民)、☆前原誠司(民主)、平沼赳夫、☆玉沢徳一郎(以上無所属)、参院=☆藤井孝男、☆尾辻秀久(以上自民)、☆田名部匡省、☆渡辺秀央(以上民主)、山東昭子(無所属)、元職=小野清子
【副会長兼常任幹事】衆院保岡興治鳩山邦夫大島理森、船田元、金子一義(以上自民)、参院鴻池祥肇、☆泉信也(以上自民)
【幹事長】愛知和男(自民・衆院
【副幹事長兼事務局長】柳本卓治(自民・衆院
【副幹事長】中曽根弘文(自民・参院
【常任幹事兼事務局次長】衆院=☆平沢勝栄(自民)、参院林芳正岡田直樹(以上自民)
【常任幹事】衆院=☆松原仁(民主)、☆下地幹郎(無所属)、参院=☆谷川秀善、☆中川義雄(以上自民)、☆亀井郁夫(国民新)、元職=飯田忠雄、永野茂門
【監事】萩山教嚴、木村太郎(以上自民・衆院)