小沢一郎氏への手紙。


小沢一郎さん
臨時国会を終わって、福田氏とあなたを僭越ながら比べてみました。福田首相の老獪さが結果的に勝ったように思います。あなたが後塵を拝する理由は、たとえばこんなあなたの発言、にも表れているのではないでしょうか。

国民にとっても民主党にとっても大事な法案ではない。私は反対の意思表示をすでにしている。
「大事な法案ではない。意思表示した」退席問題で小沢氏

上に記した2つの文の前段はけっして正しいとは思えません。
はたして大事な法案でないのでしょうか。そもそもあなたが、憲法違反といって反対したのは、9条をもつ憲法に抵触する重大な問題だからではなかったでしょうか。
安全保障という国家の重要な課題にかかわる問題なのに、さらりとこういってのけるところが小沢さん、あなたらしいといわれる方もあるのでしょう。ですが、相当の違和感を私は感じます。
政党ならば、国会のなかで徹底した論戦をやるべきです。それだけでなく、国民にむかっても問題点を発信し、必要ならば、国民に運動をよびかけるくらいのことは最低必要なのではありませんか。
民主党が旗を振って、国民によびかけ、新テロ法廃案をめざす闘争をよびかける夢をみました。その先頭にあなたがいることを期待しました。野党ですし、その第一党にはそんなイニシャチブが求められると思う。その点で民主党自民党と同じ議員政党の匂いを強く感じざるをえませんでした。

さて、後段です。一面で正しく、一面では正しくありません。
一面で正しいといったのは、一度はあなた自身が同法案に反対の意思を表明したことがあるからです。
しかし、正しくないのは、退席し議決に加わわらなかったという厳然たる事実がある。法案は再可決され成立した。
小沢さん、あなたに反対の意思があるのなら、堂々と反対票を投じるべきでした。それが意思表示でしょう。
現実には、あなたの党が政府案を継続審議にしようとよびかけ、そして今度はあなたの党の対案を継続審議にすることに自民、公明も賛成するという「大どんでん返し」でした。およそあなたの党にたいする庶民の期待とかけはなれて、事実上の与党・民主党の相互思いやりの精神が存分に発揮されたといわなければなりません。

総合してみると、あなたは、結局、自党の対案が大事だという認識なのでしょうか。それは、まさに恒久法をめざすというところに核心があるということですね。
それにしても、あなたと庶民の感覚との齟齬は想像以上に大きい、小沢さん。