小沢退場で終わった茶番。


新テロ特措法が成立してしまった。自公の態度は暴挙という言葉にふさわしいものだ。世論調査によるかぎり、国民の意識と同法の成立は完全に相反している。
そして、成立する瞬間、議場には民主党・小沢代表の姿はなかった。
野党第一党の党首としての彼の不在は、それだけで重大な責任がともなうものであることは否めない。
それだけでなくあらためて思うのは、参院選後の新たな日本の政治状況の中で、国会の内外で繰り返された茶番劇のこと。小沢退場は、その意味で茶番劇の象徴的な表現なのか。
茶番劇は、おそらく選挙直後からはじまっている。まず、シーファー米大使との会談で小沢氏は給油活動反対を強調した。対決姿勢を強調してきた同氏としては当然の態度でだろうが、しかし、もう民主党の中での矛盾は見え隠れしていた。国連のお墨付きがあれば海外派兵も辞さない旨の発言はそれを示した。その後の大連立劇は周知のとおり。福田と小沢は新テロ特措法の取扱いと恒久法で、ほぼ一致していたと推測することができる。
間に小沢辞任劇、そして復活という波乱もあるにはあったが、一貫しているのは、右往左往しながら、自民党政治を根底のところで支えようとする民主党の意思だ。だから、新テロ特措法にかぎっていえば、最終盤にきても継続審議をもちだすという挙にでる。他の野党の反対に当然あって、それを引っ込め、参院民主党は反対の態度をとったのだが、自民党側は、民主党の対案について衆院で継続審議にしようということでまとまっていたそうだから、この事実は、二党の関係がいかなるものかを如実に示すものだ。

参院選後の国会は、自民党の政治にノーをつきつけたのが国民の審判だったはずだけれど、このようにその国民の意思とはしだいに異なる方向にすすんだ。
だからこそ、この国会の一部始終をしっかりと焼き付けておくことだ。自民、民主の連立は、事実上、動いているとみてよい。曲折がありながらも、連立や再編をはらみながら、同時にそれはいよいよ国民の意思とは乖離する方向ですすんでいくと推測する。
数日後には通常国会が開会されるが、08年度予算をはじめ、この両党と国民の対立はいっそう深刻になると予想する。