「戦争プロパガンダ10の法則」


「戦争プロパガンダ10の法則」というものがある。この10の法則とは以下のとおり。

  • 我々は戦争をしたくはない
  • しかし敵側が一方的に戦争を望んだ
  • 敵の指導者は悪魔のような人間だ
  • われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う
  • われわれも誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる
  • 敵は卑劣な兵器や戦略を用いている
  • われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大
  • 芸術家や知識人も正義の戦いを支持している
  • われわれの大義は神聖なものである
  • この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である
 
『戦争プロパガンダ10の法則』を著したアンヌ・モレリは、これが9・11以後、巧妙に使われたとつぎのように分析している。

ブッシュ大統領は、世界貿易センター・ビルへのテロ攻撃は宣戦布告と同じだと断じ、議会とメディアは第二の真珠湾攻撃と位置づけた。
かくして、1カ月もたたないうちに、アメリカはアフガニスタン空爆。ただし、これは「攻撃」ではなく「報復」だという。言葉の問題は重要だ。

アフガニスタン攻撃に際して、(1)われわれは戦争をしたくはない、が、しかし、(2)敵側が一方的に戦争を望んだ、という法則が適用される。さらに、真珠湾を想起させることにより、(3)敵は卑劣な兵器や戦略を用いている、が選びとられるというわけ。
要するに、真珠湾攻撃という刺激(キュー)によって太平洋戦争時の日本の奇襲攻撃の記憶を蘇らせ、アフガニスタンへの攻撃と第二次世界大戦という「正義」の戦争という結論を結びつける、世界の人々の中に刻まれた記憶(エングラム)を活性化させる手法が用いられているということになる。

これを置き換えた変型がありそう。いくらでも応用がききそうだし、現に使われているのではないか。たとえば、日本をふくむ東北アジアの緊張関係を考えればよい。まさに昨年の北朝鮮のミサイル発射、核実験への対応を、この変型として把握できないか。つまり、権力とマスメディアが私たちに迫ってくるものは、たとえば仮想敵に対し、敵であると表明しないと社会そのものから排除されるという心理であり、その「恐怖」が勝ち組に走る現象を生むだろう。この状況から抜け出すには、権威によりかからず、平均値に左右されず、フィルタリングされた情報を疑って、1つひとつの事象に対し自分で考え、その原因を選びとることに尽きる。
では、その報復戦争に深くかかわるいまの国会審議はどうか。海自の給油活動とISAFを天秤にかけること自体を疑うこと。ここからはじまる。